★★ 母セツ子(88) 100歳まで 4336日 ★★
もう一度 学び直したい・・・
そう言う気持ちを抱いても なかなか難しい
アカデミックな何か! に憧れを抱きつつ 学ぶこととは
程遠い一生を送るのだろうなぁ・・・と 春になると思う
…… vol.58 昔々じゃない あるところに ……
久し振りに逢いましょう と 先輩に指定されたのは大学の中にあるサロン
昨年から復学していらっしゃる
もう一度勉強したいとずっと思っていて ようやく時間が出来た
大きなバックの中にはノートと資料 パソコンが見える
短くなさったシルバーヘア ツヤツヤして若々しい
母を施設に入れたのよ…
先輩は母上のところに通い、お世話をしていらした
あの時は母娘ともどもギリギリだった
父の相続の時は 同居してくれる事になった兄に遠慮した
だけど 兄は同居とは名ばかりで 母の面倒どころか無断外泊が続いてまるきり放置!
ゴミの中で母は暮していたの
母を施設に入れる事にして、家の片づけをしていたらビックリよ
兄の借用書があちこちから出て来たの
日付を見ると 20年以上前のもので父が存命の頃
20枚 いや 30枚ちかくあったわね
二度とご迷惑はかけません という念書も何枚かあった
全部、父が支払っていたのよ
私が見つけただけで 1000万円は軽く超えてたわね
兄は母の面倒を見るどころか ずーっと親に面倒をかけてきたのよ
遠慮なんかしていた事がバカバカしくなったわよ
80を超えた父に借金の尻拭いをさせていた兄を許せない
家は母名義にしておいて本当に良かった
兄が相続していたら処分できなかった
兄とは没交渉よ
家を売却するとき 荷物をどうするか 何回もメールしたの
返事がなければ処分します って
母はね 身体はとても元気なんだけれど
この前は 転んで顔面強打しちゃったのよ
だけどね 家にいたら もっと大変だったかもしれない
応急処置をしてくれる施設にいてよかったと思う
認知は進んできて 私の事も
この女誰?
みたいに見ている日もある
だけど 兄の事は思い出すの
〇〇ちゃん は 元気かしら? って聞いてくるのよ
何だか やりきれないわよね・・・
サロンの壁には グレゴリオ暦を採用し、天正遣欧使節団と謁見 学問を好み 奨励したと言われているグレゴリウス13世の油絵のレプリカがあった
繰り返す兄の無責任な行動 それを許し続けた両親
それは何故なのかを 私と兄と親にとって何が違うのかを、母が生きている間に少しでも理解したい
先輩 何を 勉強してらっしゃるんですか?
ふふふ 認知心理学!
その日初めて先輩は笑った
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